かばんをめぐる4つのおはなし
日本の鞄の歴史をひらく、というおはなし
草創期─“鞄”の語源は、オランダ語の“カバス”から
日本で初めて鞄が作られたのは、明治初期。外国人が修理に持ち込んだものを真似たのが始まりで、 オランダ語のカバスを語源とする鞄という言葉もそのころから使われ始めたと言われています。 しかし、その呼び名はなくても、日本における鞄の歴史は、それよりずっと以前から始まって いました。武士たちが鎧を入れた「鎧櫃(よろいびつ)」、医者の「薬篭(やくろう)」、床屋の道具入れ としての「台箱(だいばこ)」、そして庶民が旅行の時に使った柳ごおりなども、すべて鞄の役割を 果たしていました。
普及期─ランドセルは大正天皇が使われたのが始まり
明治20年ごろには日本で初めての鞄専門店が登場、用途によってさまざまな機能を持つものに 細分化されていきました。大正天皇が通学用に使われたのが始まりといわれるランドセルは、戦後、 教育の普及とともに、広がっていきました。高度成長期、ビジネス界ではアタッシェケースが流行。 情報を持ち運ぶ、知的空間が必要になったのです。
成熟期─鞄はその時代を反映し、暮らしと深く結びつく
昭和後期には、ブランド人気の高まりとともに、生活の豊かさの象徴として、求められた鞄。 女性の社会進出とともに、キャリアウーマンのためのビジネスバッグも街のいたるところで目にす るようになりました。このように鞄は、私たちの暮らしと密接に結びつきながら、長い歴史を歩んで います。